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お悩み15 尿失禁

尿失禁とは?

最新のICS(国際尿禁制学会)では、「尿失禁=尿が不用意にもれる愁訴」と定義されました。しかし尿失禁は尿がもれる頻度や程度、またQOL(生活の質)にどの程度影響しているか、など個人によってかなりバラつきがあるため、一概に尿失禁とまとめて治療することはなかなか困難です。

大きく分けるとくしゃみをしたときやスポーツ時など、予期しないときに尿がモレる『腹圧性尿失禁』と、前触れなく尿意が高まり、モレてしまう『切迫性尿失禁』、膀胱が尿でいっぱいなる前にモレてしまう『過活動膀胱』に分かれます。腹圧性尿失禁は出産後から更年期までの30〜50代に、切迫性尿失禁は70代以降に多くみられます。

尿失禁の原因

どのタイプの場合も骨盤底筋群や、骨盤底を構成する靭帯の弱まりや傷つきが原因です。骨盤底筋とは腹の下のほうにある恥骨とお尻の下のほうにある尾骨、さらに両脚の内股に囲まれた部分にある、ハンモック状の筋肉をさします。

また切迫性尿失禁の場合は、脳や脊髄の疾患で引きおこされる場合もあります。まずは自分の尿もれが「どんなときにどのように」起こるのかを見極めることが大切。せきやくしゃみをしたときにモレるようなら腹圧性尿失禁ですし、尿意を我慢できずにトイレに行く途中でモレるようなら、切迫性尿失禁や過活動膀胱の疑いがあります。

また同じく骨盤底筋が弱くなって起こる病気に骨盤臓器脱=性器脱があります。これは膀胱・子宮・直腸などが支えを失って腟に落ちてくるという病気です。『陰部に球のようなものが出てくる』『戻さないと尿が出にくい』などの症状がでます。初期なら骨盤底筋訓練で改善することもありますが、腟の外にまで出てきてしまっている時には手術が必要なことが多いです。

こんな治療法があります

腹圧性尿失禁の治療は、3段階に分けられます。

まず第1段階は弱くなった骨盤底筋を回復させるためのトレーニングです。全身の力を抜き、肛門括約筋を収縮させて、肛門と膣をギュッと体の中に絞り込むようにするのがコツ。これを1回あたり5〜10回、1日5〜10セットを12週間続けて行うと、約40%の方が改善するといわれています。
ポイントを理解するまでがなかなか難しいので、もし3ヵ月以上続けても効果がみられないときは、他の方法を考えたほうがいいでしょう。

第2段階は薬物療法ですが、腹圧性尿失禁は、薬物療法だけでは完治しません。この場合も骨盤底筋トレーニングと組み合わせることが必要です。

第3段階目は手術療法です。腹圧性尿失禁単独の症状であれば、手術を行うことで完治は可能です。しかし症状が重い場合は、薬物療法など骨盤底筋体操を長期間続けず、2段階以上の治療を行える施設を紹介します。

切迫性尿失禁、過活動膀胱の治療の場合は、薬物療法がメインです。薬剤には抗コリン剤をはじめとする様々なものがありますので、症状などに応じて処方します。尿失禁の場合、いくら困っていても恥ずかしさが先に立って受診に至らない人がまだまだ多いのが現状です。"年のせいだから仕方ない"などとあきらめず、気になる症状があるときは専門家を受診しましょう。

泌尿器科 大川あさ子(女性外来ハンドブックより)