女性医療ネットワークとは

女性医療ネットワーク(Women’s Clinic Network=C-ネット)は、2003年7月、女性外来を運営している医師たちが、助け合い、連携するために結成されました。

女性外来は、1980年代からアメリカで広がったウイメンズヘルス(生涯を通じた女性の健康を実現しようとする運動)が、わが国の女性たちの健康や医療に対する期待をになうものとして広がりました。現在では、全国300以上の病院やクリニックに同様の形態の外来が出来ています。アメリカではWomen’s Health Clinic、Women’s Health Centerと呼ばれています。

当初、この会の設立の原動力になったのは、現場の医師たちの情熱でした。
女性外来を立ち上げ、全人的な医療をめざして悪戦苦闘している医師たちが、「手を組んで一緒にできることはないか?」と手紙やメールをやりとりし、忙しい診療の合間を割いて何度も話し合いました。
私たちは科を超え施設や地方を超え、性別を超えて連携することで、 よりよい女性医療を実現したいと思ってこの会を結成したのです。

アメリカのWomen’s Health Centerにも、当事者の女性を中心に企画・運営するというポリシーがあります。私たちも子宮や乳房に限らない、心身と生活面をトータルに見る医療の実現のために、 当事者として考えたいと思ったのです。真に自分らしい、生き生きとした健康な人生を実現するために…。

新しい女性医療の理念と性差医学

女性は、もともと、一生のなかに思春期、成熟期、更年期、老年期と、ホルモンのダイナミックな変化があり、また、月経-排卵-月経という毎月の月経周期によって、男性とは異なった心身の変化をしています。
また、高度経済発展によってすっかり変化してしまったわが国の女性のライフスタイルは、子産み子育ての一生ではなく、多様化し、高学歴化し、社会進出し、少産少子化し、長寿化しています。

しかしそれによって以前よりストレスが増したり、うつや子宮内膜症、乳がん、メタボリックシンドロームの増加など、昔とは、なりやすい病気や、気をつけるべき事柄もすっかり変化してしまいました。

そのため医師も、病院で疾患の診断・治療ばかりをするのではなく、一人ひとりの患者のライフスタイルを考慮し、こころの問題や生活の問題までをトータルに考えながら相談にのり、病気の予防や早期発見、食生活・運動・メンタルケアなど、幅広いヘルスケアにまでかかわっていく必要があるのです。
つまり、女性をみるときに、生物学的差(Sex)=妊娠や出産に関する機能ばかりでなく、文化的社会的性差(Gender)を考慮してみる診療が必要です。これを性差医療といいます。

会の活動とNPO化

この会は、実際に女性外来や女性を対象とした診療にあたっている、産婦人科、内科、外科、精神科心療内科、泌尿器科、皮膚科、眼科、口腔外科などの医師たちによって運営され、診療と連携にすぐに役立つ活動をしてきました。

会員数は500余名で、これまでに設立集会をふくめて25回以上の勉強会・公開セミナー・視察旅行・交流会などを行ってきました。
勉強会では、女性の疾患や健康に関する症例にもとづいた検討、性差医学の新しい知見、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関すること、コミュニケーションスキル、疾患予防や検診、代替補完医療など、女性の健康にすぐ役立つ情報を提供してきました。また、お互いに顔が見え、診療理念がわかりあえる関係を作ってきましたので、患者さんを紹介するときにも、何か聞きたいことがあるときにも、とても頼りになる仲間としてネットワークを築いています。

会の活動とNPO化により、今後は医療関係者のみならず、一般、メディア、美容や保健、教育や行政、製薬関係者などさまざまなかたの参加を募集することにいたしました。

2006年10月にはNPO法人となり、今後は医療関係者のみならず、一般、メディア、美容や保健、教育や行政、製薬関係者などさまざまなかたの参加を募集することにいたしました。

医療の本質をみつめ、女性医療を一時の流行ではなく、 真に女性の健康と幸福に貢献できる新しい総合医療として、またヘルスケアの総合システムとして育てたいと考えるかたは老若男女、職業を問わずご参加ください。お待ちしております。